京都工芸繊維大学美術工芸資料館は、2013年度より、美術・工芸・グラフィックデザイン分野の新人クリエイターの継続的な成長支援を目的とする「未来の途中」プロジェクトを実施しています。2013年度から参加している1期生12名、2014年度から参加している2期生11名の計23名が参加している本プロジェクトに、今年度、公募と推薦によって10名が加わりました。
今年度、1期生はこれまでのプログラムの集大成として、京都工芸繊維大学D-labアネックスにて展覧会を、2期生は「京都・大学ミュージアム連携」のネットワークを活用し、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAと京都造形芸術大学ARTZONEで展覧会を実施します。そして新たな育成対象者として集った10名は、美術工芸資料館において展覧会を実施します。
(*2015年度より参加)
(*2014年度より参加)
(*2013年度より参加)
京都工芸繊維大学美術工芸資料館では、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAにおいて、信楽在住の陶芸家 谷穹の個展を開催いたします。
室町時代に信楽で作られていた「古信楽」を再び作り出すこと、室町時代の人々の美意識と遊び心を現代的な視点から捉え返すこと。谷はこれまで、器を通じて「かつて」と「いま」を架橋しようとする企図のもと、制作・発表活動を行ってきました。
「器」という漢字を部分的に欠いた文字を展覧会名とする本展において、谷は、自身の設えた空間の中に、甕を一点のみ据えます。甕という器と京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAの空間が響きあう中へ歩み入るとき、鑑賞者はどのような風景に出会うのでしょうか。
ぜひご覧ください。
なお、本展は、京都工芸繊維大学美術工芸資料館が若手作家の育成支援を目的に実施している「未来の途中」プロジェクトの一環として開催されるものです。昨年度、『これからの、未来の途中-美術・工芸・デザインの新鋭11人』展(2015年1月~2月、京都工芸繊維大学美術工芸資料館)に出品した11名へのさらなる育成プログラムとして、今年度、京都にある15の大学のミュージアムで組織される「京都・大学ミュージアム連携」のネットワークを活用し、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAと京都造形芸術大学ARTZONEにおいて、展覧会を開催します。京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAでは、8月にプロジェクト内公募を実施し、その結果、谷穹のプランが採択されました。
○開催期間
2015年11月21日(土)から2015年12月6日(日)まで
○開催時間
11-19時(入館は18時30分まで)
○休館日
11月24日(火)、11月30日(月)
○会場
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
(京都市中京区押油小路町238-1)
○入館料
無料
◎関連企画
「アーティストトーク」
11月21日(土)15:00~
中ハシ克シゲ(京都市立芸術大学彫刻科教授)×谷穹
※ 参加費無料・申込不要
<谷穹 ステイトメント>
私の要素は「壷」です
「壷」の妙は「壷」でしかないことです。「壷」とは何も表現しないものです。
ゆえに、それはいつまでも不完全で不確定なものとして存在し、
季節に移ろいながら持ち主とともに枯れてゆきます。
壷のない国はありません。壷はその土地の風土によって大きく変化します。
壷はその国の歴史そのものを表しています。
その中でも古信楽(12世紀から15世紀)の壷は他に類を見ません。
無骨で粗雑にも見て取れる端正なつくりや、自然釉による独特の景色は、
存在そのものが「遊び」だと感じます。
「古信楽」は日本の美意識の根幹ともいわれています。
しかし、わたしの制作は再現を目的にしている訳ではありません。
世阿弥が芸にまつわる多くの書物を残し、民衆によって芸の評価がなされてきた、
室町幽玄思想の美意識を体現させたいのです。
私のもうひとつの要素は「仕組み」です。
くぐる またぐ かがむ よける ちかづく
のぞく すわる にじる さわる みあげる
場が観者の行動を提供する仕組みは、茶事などにもおおいに利用されてきました。
場に与えられた行動は滑稽で、人間的な要素を引き出します。
仕組みの中において壷は「うつわ」であり空(カラ)でもあります。
空間の中心であり彼岸です。
私の仕組みの要素は壷さながらの不完全さにあります。
主催:文化庁、京都工芸繊維大学、京都工芸繊維大学美術工芸資料館、京都市立芸術大学
制作:京都工芸繊維大学美術工芸資料館
文化庁委託事業「平成27年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」
本展に参加する11名の若手作家たち。彼らは、京都工芸繊維大学美術工芸資料館が主催する「大学美術館を活用した美術工芸分野新人アーティスト育成プロジェクト」の2期生として、公募と推薦によって選ばれた若手作家たちです。彼らは同プロジェクトの1年目のプログラムとして、「これからの、未来の途中-美術・工芸・デザインの新鋭11人」展(京都工芸繊維大学美術工芸資料館、2015年1月~2月)を開催しました。そして今年度、2年目のプログラムとして、京都にある15の大学附属ミュージアムのネットワークである「京都・大学ミュージアム連携」と連動し、京都造形芸術大学ARTZONEならびに、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAとタッグを組み、さらなる飛躍を目指します。
ARTZONEが11名の作家たちに準備したのは、言葉です。本展では、各作家にヒヤリングを行った上で、特定の美術ジャンルに固有な問題を扱うよう指示するものから、各作家の私的な趣味と関係するものまで、多様な言葉を参加作家たちに提示しました。
本展の参加作家たちは、これらの言葉の中から個々人の意思にもとづいていくつかを選択し、解釈・考察した成果を展覧します。むろん、どの言葉を選ぶのか、選んだ言葉をどのように解釈するのか、その結果として何を作るのかは、各作家の裁量に任せられています。しかしどのようなものを作るにせよ、言葉から出発することをルールとして課しているのです。
なぜこのようなことをするのか。それは裏切るためだと言えるでしょう。
本展の参加作家たちがまだ若手作家であることは間違いないにせよ、彼らは教育期間を卒業してすでに数年が経ち、自らの作風や制作スタイルを確立しつつあります。それは果たして、「成長」なのでしょうか。それとも、かつて可能性としてあったものが単なる慣行に変わったに過ぎないのでしょうか。
本展がインストラクションを準備した理由は、ここにあります。すなわち、固まりつつあるスタイルを敢えて裏切るために、他者の言葉を一旦受け入れること。それはちょうど、歩きなれた道とは違う道を敢えてとおってみることで、あたらしい風景に出会おうとする試みに似ているでしょう。
他者から与えられた言葉から出発した参加作家たちは、言葉の解釈・考察においてどのように言葉のありきたりな意味を裏切り、制作においてどのように自らの慣行を裏切るのでしょうか。そしてその結果、どのような「未来の途中」の先を夢見るのでしょうか。
ぜひご覧ください。
○開催期間
2015年11月28日(土)から12月23日(祝・水) まで
○開催時間
平日13:00~20:00 土日祝 12:30~20:00
○休館日
会期中無休
○出品作家
荒井理行、石井聖己、門田訓和、来田広大、嶋 春香、高野友実、谷 穹、本田亨一、前谷 開、牧山智恵、吉田奈々
○会場
京都造形芸術大学 ARTZONE
京都府京都市 中京区河原町三条下る一筋目東入る大黒町44 VOXビル1・2階
○入館料
無料
主催: 文化庁、京都工芸繊維大学、京都工芸繊維大学美術工芸資料館
制作: 京都工芸繊維大学美術工芸資料館、京都造形芸術大学 ARTZONE
共催:京都造形芸術大学
文化庁委託事業「平成27年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」
京都工芸繊維大学美術工芸資料館が新人アーティストの育成を目的に実施している「未来の途中」プロジェクトも、3年目を迎えました。このプロジェクトに当初か ら関わってきたアーティスト12名が、2度のグループ展を経て、今年、展覧会のための作品ではなく受け手(買い手)を想定した作品を出品します。アーティスト同士の初コラボ作品が登 場のお楽しみも。会場は京町屋、居宅の設えの中で作品がどのように映えるか、ぜひご堪能ください。もちろんお気に入りのものが見つかれば購入していただけます。(作品購入にあた りましては、作家との直接交渉にて進めてください。主催者は作家への当初連絡のみ行います。)
○開催期間
2015年12月11日(金)から12月27日(日) まで
○開催時間
12:00~19:00
○休館日
会期中無休
○出品作家
池田精堂、太田勲、岡達也、岡山高大、小倉智恵美、楠本孝美、ジュリー・ペレイラ、神馬啓佑、田中幹、寺岡海、中西瑞季、山本晃久
○会場
京都工芸繊維大学D-labアネックスににぎ
京都市中京区三条油小路西入南側
○入館料
無料
◎関連企画
トークイベント
12月12日(土)15:00~
森裕一(MORI YU GALLERY)+出品作家
※ 参加費無料・申込不要
主催: 文化庁、京都工芸繊維大学、京都工芸繊維大学美術資料館
制作: 京都工芸繊維大学工芸資料館
協力:京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab
文化庁委託事業「平成27年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」
作家であることの理由が作品を作っていることにあるとすれば、展覧会期間中、すなわち作品を作っていない間の作家は、作家であることをやめていると言えるかもしれません。むろん、その一時的な休止は、作家活動を続けていくうえで、必要不可欠なものです。使い慣れたアトリエから展示空間に自作を移し、客観的に眺め、鑑賞者からの批評を受ける。そのうえで自身の課題や問題意識を再設定し、展覧会が終わったら、再び歩みを進める。展覧会はこのようにして、日々の制作活動や長く続く作家活動にリズムを形作っていきます。
さて本展は、京都工芸繊維大学美術工芸資料館が若手作家の成長支援を目的に実施している「未来の途中」プロジェクトの3期生として、公募と推薦によって選ばれた若手作家10名の作品を展覧するものです。出品作家たちが手がける作品ジャンルは、絵画、彫刻、映像、染織、陶芸、漆工と多様であり、本展がなければ、彼らが同じ展覧会に出品することはなかったかもしれません。その意味で本展は、若手作家たちにとって、制作活動の成果を発表する機会であることはもちろん、異なったジャンルで活動する同世代の作家たちの作品と自作とを比較し、自身の取り扱うジャンルの固有性を見つめ直す機会となるでしょう。そしてさらに、発表した作品に対して、鑑賞者のみなさまから批評を受ける機会でもあります。
自身の望む未来に向かって歩みゆく10名の若手作家たち。彼らの活動は、この展覧会が終わったあとも長く続いていくことでしょう。本展は、そうした彼らの活動のこれまでの成果を確認するとともに、その成果を鑑賞者や他の出品作家とともに見つめることで、若手作家たちの作家活動に新たなリズムをもたらすことを目指しています。「未来の途中」にいる 10 名の若手作家たちの瑞々しい表現を、鋭い眼差しをもって、存分にお楽しみください。
*本展覧会は、文化庁平成27年度助成「大学美術館を活用した美術工芸分野新人アーティスト育成プロジェクト」の一環として開催されるものです。
○開催期間
2016年1月12日(火)から2月27日(土) まで
○開催時間
10:00~17:00(入館は16:30まで)
○休館日
日曜日・祝日、1月16日(土)・23日(土)、2月25日(木)・26日(金)
○出品作家
小笠原周、香川裕樹、河股由希、清田泰寛、畔柳尭史、小宮太郎、勢野五月葉、竹田和代、むらたちひろ、吉岡尚美
○会場
京都工芸繊維大学美術工芸資料館
○入館料
一般200円、大学生150円、高校生以下無料
※京都・大学ミュージアム連携所属大学の学生・院生は学生証の提示により無料で入場できます。
◎関連企画
出品作家がゲストとともに、出品作品やこれまでの作品について意見交換します。
主催:文化庁、京都工芸繊維大学、京都工芸繊維大学美術工芸資料館
制作:京都工芸繊維大学美術工芸資料館
文化庁委託事業「平成27年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」