京都工芸繊維大学美術工芸資料館

京都工芸繊維大学

京都・大学ミュージアム連携

©Museum and Archives,
Kyoto Institute of Technology

展覧会|Exhibition

2017.12.5 - 2017.12.22

その後の、未来の途中
その後の、未来の途中

 京都工芸繊維大学美術工芸資料館が、文化庁委託事業として若手作家の成長支援を目的とする「未来の途中」プロジェクトを始めたのは、2013年度のことでした。展覧会を中核とするこのプロジェクトには2013年度から2016年度までの4年間に美術・工芸・デザイン分野の若手作家40名余が参加し、京都工芸繊維大学美術工芸資料館のほか、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、京都造形芸術大学ARTZONE、京都市内の京町家などを会場に、自身の制作テーマを追求することで制作した作品のみならず、時にキュレーターから与えられたテーマにもとづき制作した作品や他作家とコラボーレションすることで制作した作品によって、展覧会を実施してきました。
 本展は、こうしたプロジェクトの最後の展覧会で、プロジェクトに3期生・4期生として参加している作家の有志メンバーの作品によって構成されるものです。
 展覧会名に「その後の」とつけたのは、さしあたり本展が、出品作家たちが昨年度参加した「手立てと方便」展(2016年12月、京都造形芸術大学ARTZONE)、「未来の途中の星座」展(2017年1月−2月、京都工芸繊維大学美術工芸資料館)、「未来の途中の、途中の部分」展(2017年1月−2月、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA)に続く展覧会であることを意味しますが、一方で本展が「未来の途中」プロジェクトの最後の展覧会であることとも関わっています。
 若手作家たちの活動は、この展覧会が終わった後も続いていきます。自分自身が何を目指し、今後何を課題として制作を進めていくべきなのか。その答えは、この展覧会の出品作品の中から見出されるでしょう。とすれば、出品作家たちにとってこの展覧会は、先の展覧会の「その後」の成果を示すものであると同時に、この展覧会の「その後」の道行を示すものともなるでしょう。
 「未来の途中」にいる若手作家たちの現在地点を存分にお楽しみいただくともに、この展覧会の後へと続いていく若手作家たちの挑戦にご期待いただけると幸いです。

○出品作家
小笠原周、大橋麻里子、香川裕樹、小宮太郎、勢野五月葉、松浦茜、眞鍋沙智、むらたちひろ、米原康人

○開催期間
2017年12月5日(火)から2017年12月22日(金)まで

○休館日
12月10日(日)、12月17日(日)

○開館時間
10-17時(入館は16時30分まで)

○会場
京都工芸繊維大学美術工芸資料館2階

○入館料
一般200円、大学生150円、高校生以下無料
*京都・大学ミュージアム連携所属大学の学生・院生は学生証の提示により無料

○主催
京都工芸繊維大学美術工芸資料館



2017.12.9 - 2017.12.24

未来の途中プロジェクト2017「ゴーストに矛と盾」

 京都造形芸術大学アートプロデュース学科が運営するARTZONEでは、未来の途中プロジェクト2017「ゴーストに矛と盾」を開催致します。
 本展は、京都工芸繊維大学美術工芸資料館が2013年度から2016年度まで若手作家の成長支援を目的に実施していた「未来の途中」プロジェクト4期生の中から選抜された石黒健一と守屋友樹の作品を展覧するものです。
 ゴーストに矛と盾 − 目には見えない対象、見えはしないけれどそこにあるという予感はしっかりと感じられる存在を、美術作家はどのような作品にすることができるのでしょうか?ひとつには、見えないけれどこういうものが存在すると言い張って、その姿を描き出したり象ったりするといった方法があるでしょう。しかしその方法は、目に見えない対象を無理やり見えるようにしただけであって、見えないものが見えないときに持っていた不気味さや捉えがたさを捕まえることができないように思えます。
 一方、本展の出品作家のふたりは、見えないものに向かって、いま書いた方法とは違った仕方でアプローチします。
 これまで彫刻家として、彫刻と呼ばれるジャンルの特性や自身の取り扱う素材の歴史性をめぐって思考を続けてきた石黒は、本展において、ともにその時代の人類の技術的な到達点を示す原始的な祭器と現代の今日的な製品とを、眩い光の中で半ば暴力的に遭遇させるインスタレーションを発表します。
 写真家でありながら目に見えない出来事の予感や世界の運動を成り立たせている時間性に焦点を当ててきた守屋は、自宅で小鳥の声を不意に聞き取った経験と自身の難聴経験とを契機に作られた、写真と映像から成るイスタレーションを発表します。
 彼らふたりに共通するのは、ふたりの作品がともに相対立する要素からなっている点です。石黒の作品における人工物と自然物、あるいは物質と光の交差。守屋の作品における見えているものと聞こえているものの相克。このようにふたりは、対立するものが重なり合うその内側に、目に見えないものへの回路を開こうとするのです。
 そのようにしてふたりが作る回路の先に何が立ち現れるか、ぜひご高覧ください。

○出品作家
石黒健一、守屋友樹

○開催期間
2017年12月9日(土)から2017年12月24日(日)まで

○開館時間
平日:13-20時/土日祝:12:30-20時、会期中無休

○会場
京都造形芸術大学ARTZONE
(京都府京都市中京区 河原町三条下ル一筋目東入ル大黒町44 VOXビル1・2F)

○入館料
無料

◎関連イベント

アーティストトーク
出演:出品作家+福元崇志(国立国際美術館研究員)
2017年12月16日(土)  18:30 - 20:00 
会場:ARTZONE
入場料:無料

○クレジット
主催:京都工芸繊維大学美術工芸資料館
協力:京都造形芸術大学アートプロデュース学科
企画:京都工芸繊維大学美術工芸資料館、京都造形芸術大学ARTZONE