京都工芸繊維大学美術工芸資料館

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企画|Event

2025.03.01

京都工芸繊維大学繊維アーカイブ作成プロジェクト企画 第1回イベント
シンポジウム「久米島紬と蚕業―無形文化財の保存・活用と展望」
久米島紬と蚕業―無形文化財の保存・活用と展望
 京都工芸繊維大学繊維アーカイブ作成プロジェクト企画の第1回イベントとして、シンポジウム「久米島紬と蚕業―無形文化財の保存・活用と展望」を開催いたします。
 京都工芸繊維大学の前身校のひとつである京都蚕業講習所は、明治32年(1899)の設立です。この1年後の明治33年、日本の生糸の輸出量は、ヨーロッパ最大の生産国イタリアの生産量を抜き、明治42年には中国を抜いて世界一になりました(嶋崎昭典「我が国の製糸業の変遷とこれからの生きる道」『第60回製糸夏期大学記念誌』農業生物資源研究所製糸技術研究会、2007)。まさにこのような時期にあたり、より丈夫で質の良い蚕糸を生産するために設立されたのが京都蚕業講習所でした。それ以来、京都高等蚕業学校、京都高等蚕糸学校、京都繊維専門学校と名称を変えて、昭和24年(1949)に京都工芸繊維大学となりました。本学は、京都蚕業講習所の時代から現代にいたるまで、日本の繊維産業の基盤を支える研究を進めてきました。
 蚕糸の生産は、いうまでもなく輸出産業であるだけでなく、国内の伝統的な染織品の製作にも重要です。全国各地の伝統的な繊維産業は、化学繊維の発達をはじめとする時代の変化に押され、いまや守らなければいけない貴重な文化遺産になっています。京都工芸繊維大学では、最先端の技術で繊維の明日を切り開く一方で、京都工芸繊維大学繊維アーカイブ作成プロジェクトをたちあげ、本学が所蔵する繊維関係の貴重な資料類の価値づけをおこなうとともに、伝統的な繊維産業の保護にも目を向けていきたいと考えています。
 今回のシンポジウムでは、重要無形文化財「久米島紬」の保持団体である「久米島紬保持団体」代表である桃原禎子氏、久米島博物館主任学芸員宮良みゆき氏をお招きして、無形文化財としての久米島紬の現状と保存にかかわる問題点を語っていただきます。久米島紬は、15世紀に中国の技術をもとに成立し、大島紬、久留米紬、結城紬など日本の紬の原点ともいわれています。昭和50年(1975)には通商産業大臣より伝統工芸品の指定を受け、平成16年(2004)には重要無形文化財に指定されました。
 それにくわえて、文化庁文化財調査官生田ゆき氏には無形文化財の保存と伝承の現状を報告していただき、また、本学応用生物系の長岡純治准教授から京都工芸繊維大学がこれまでかかわってきた原材料としての蚕の生産と今後の課題を呈示して、無形文化財の保存・活用と今後の展望を考える機会にしたいと考えています。

        

○日時
2025年3月1日(土)
13:00-17:00(12:30開場)
○会場
京都工芸繊維大学60周年記念館

入場無料、申込不要


13:00 挨拶、趣旨説明(京都工芸繊維大学美術工芸資料館館長 並木誠士)

第1部 久米島紬のいまとこれから
13:10-13:40 久米島紬の歴史(久米島博物館主任学芸員 宮良みゆき)
13:40-14:10 久米島紬をつくって(久米島紬保持団体代表 桃原禎子)

休憩

第2部
14:25-14:55 無形文化財における蚕業(文化庁文化財調査官 生田ゆき)
14:55-15:25 京都蚕業講習所から京都工芸繊維大学へ-近代蚕業において果たした役割-(京都工芸繊維大学 応用生物学系准教授 長岡純治)

休憩

第3部
15:40-16:55 ディスカッション(宮良・桃原・生田・長岡 /進行:並木)
16:55     閉会の挨拶(並木誠士)