京都工芸繊維大学美術工芸資料館

京都工芸繊維大学

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展覧会アーカイブ|Exhibition Archives

2012.11.19 - 2012.12.21

文化遺産教育研究センター企画
「1900年前後の幻燈画―美術工芸資料館所蔵写真乾板展」
1900年前後の幻燈画―美術工芸資料館所蔵写真乾板展

ごあいさつ

美術工芸資料館には、25セット計1838枚のガラス乾板(ポジ)を収蔵しています。 記録から、これらは、1902年の京都高等工芸学校(京都工芸繊維大学の前身校のひとつ)創立からほどない時期に相次いで購入されたことがわかります。
購入年次のもっとも早いものは「幻燈画」として登録される100枚セットであり、これは1902年9月3日に京都高等工芸学校初代校長中澤岩太が受入先となり購入しています。 作者は「Dr. Franz Stoedtner」。京都高等工芸学校は1902年9月に開校しているので、この幻燈画は最初期の教材であることがわかります。 京都高等工芸学校開校準備のために渡欧した中澤が現地で求めた可能性が高いものです。 つづいて、1905年12月には「幻燈写真画」として、西川新十郎から1900年のパリ万国博覧会会場写真67枚セットを、1906年3月には「幻燈影画」として「パリおよびパリ郊外風景」20枚セットを購入しています。 また、「欧羅巴美術史写真」と台帳に記された一連の資料は、初期の「建築装飾」などの講義のなかで使用された可能性があります。
資料的に興味深いのは、1923年12月に寺田清四郎から購入している「建築物震災幻燈映画100枚セットです。 これは、1923年9月1日に発生した関東大震災直後の映像で、建築物の倒壊・破損状況が克明に映し出されています。 これらは、建築系の講義・実習などで使用されたと考えられます。
これらの資料は、いまや、それ自体が貴重な文化遺産です。今回は、そのなかで1900年のパリ万国博覧会関係資料と関東大震災関係資料を中心に展示を構成しました。
今回の展示では、奈良文化財研究所および本学の創造連携センターのご協力を得て、これらの資料からスキャンしたデータを出力しました。 おかげさまで、貴重なデータの活用方法として、ひとつの可能性を示すことができました。ご尽力いただいた方々にはここに深く感謝の意を表します。

文化遺産教育研究センター長
並木誠士

○開催期間
2012年11月19日(月)から2012年12月21日(金)まで
○休館日
日曜・祝日
※ただし、11月23日(祝)および25日(日)は開館致します。