京都工芸繊維大学美術工芸資料館

京都工芸繊維大学

京都・大学ミュージアム連携

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Kyoto Institute of Technology

展覧会|Exhibition

2018.1.9 - 2018.2.16

近代京都の機械捺染図案を今ふたたびーよみがえる寺田コレクションー
そ近代京都の機械捺染図案を今ふたたび

 本企画は、昭和期の機械捺染の図案という歴史資料を現代の生活のなかに活かす試みを紹介するものです。このたび、京都工芸繊維大学美術工芸資料館所蔵寺田資料のうちから選んだ昭和初年の機械捺染図案を用い、二つの方向から、現代の技術で新たな製品を制作する取り組みがおこなわれました。
 ひとつは、機械捺染のローラープリントの技術をグラビア印刷として今に引き継いでいる梔ェ工業株式会社が取り組んだ建材用プリントへの展開の試みです。そしてもうひとつは、百貨店京都燗屋の浴衣制作の試みで、機械捺染に代わる捺染技術であるインクジェットプリントの技術を使い、縞や絣柄の図案を、現代の感覚による色彩でよみがえらせました。
 京都工芸繊維大学美術工芸資料館では、機械捺染産業に関わる展覧会として、「ここにもあった匠の技 機械捺染」(2010 年)、「京都のモダンデザインと近代の縞・絣」(2011 年)、「京都からアフリカへ 大同マルタコレクションにみる1960 年代京都の捺染産業」(2013年)、「京都捺染産業の軌跡‐ローラー彫刻の祖 武田周次郎とその後‐」(2015年)と4回の展覧会を開催しました。これらの展覧会によって、機械捺染が、近代京都の染織産業のなかで重要なポジションにあり、明治後期より昭和期までのおよそ100年、京都の染織産業に大きく貢献してきた姿が浮き彫りにされました。
 このように、これまでは機械捺染の歴史的視点から、かつて染色業界で脚光を浴びながらも現在ではその存続が危ぶまれる状況にある機械捺染の全容を明らかにすることを目的に記録保存した資料を、研究の成果とともにご覧いただく展覧会を開催してきましたが、今回は、少し趣向を変えた機械捺染の特別企画展です。
 過去の歴史遺産として保存されているこうした資料が、研究資料や展示品として活用されるだけでなく、工夫次第で、その役割も失うことなく、現代の生活のなかに活かせるものであるという、これまでとは違う視点で機械捺染を楽しんでいただければ幸いです。

○開催期間
2018年1月9日(火)から2月16日(金)まで
○休館日
日曜日・祝日、1月13日(土)
○開館時間
10-17時(入館は16時30分まで)
○会場
京都工芸繊維大学美術工芸資料館1階
○入館料
一般200円、大学生150円、高校生以下無料
*京都・大学ミュージアム連携所属大学の学生・院生は学生証の提示により無料

○主催
京都工芸繊維大学美術工芸資料館
○協力
梔ェ工業株式会社/株式会社 燗屋/株式会社 デジナ/立命館大学アート・リサーチセンター 文部科学省共同利用・共同研究拠点「日本文化資源デジタル・アーカイブ研究拠点」/京都・大学ミュージアム連携
○企画
上田文/青木美保子