京都工芸繊維大学美術工芸資料館

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展覧会アーカイブ|Exhibition Archives

2004.4.27 - 2004.8.8

1960年代 日本の抽象絵画展
1960年代 日本の抽象絵画展

1950年代後半に、アンフォルメルという絵画の新しい動向が日本に入ってきました。
アンフォルメルは〈非具象の〉という意味のフランス語ですが、 この動向は幾何学的抽象にたいする反動として戦後にパリで現れ、不定形な抽象を特徴としました。
日本ではこれを前衛的な表現主義として受け入れましたが、その一方でアンフォルメルは、 浮世絵や南画のようにものの形を自在に捉えていく日本の土着的な描写法とも通底するところがありました。
その結果、日本におけるアンフォルメル受容には、前衛と土着の交錯という興味深い現象が見られます。
今回の展覧会で紹介する難波田龍起、津高和一、白髪一雄、元永定正、須田剋太、上田臥牛は、 広い意味でアンフォルメルの洗礼を受けた人たちです。
これらの画家の作品にはパリの前衛絵画によって日本画壇に新風を吹き込もうとする試みと、 他方で、実在する形を崩していくことを楽しんでいるさまが見て取れるでしょう。
なお、展示する作品114点は、昭和53年に当館に寄贈された「大橋コレクション」から選ばれました。
寄贈者の大橋嘉一は1960〜70年代日本の抽象絵画のコレクターとして知られ、 また、現代美術のパトロンとしても知られています。

大橋嘉一 略歴(1896−1978)
1896年 滋賀県大津市に生まれる。
1918年 京都高等工芸学校(現 京都工芸繊維大学)色染科を卒業する。
三井鉱山三池染料工業所に入社、合資会社稲畑染工場工務課長、福井染色株式会社技師長を歴任、 1928年 大橋焼付漆工業所(現、大橋化学工業株式会社)を創立する。
1943年 大橋式焼付漆の特許を取得する。約80件の特許を取得し、1954年、工業博士の学位を授与される。
実業家、化学者として活躍する一方、1950年代後半から1975年頃にかけて、 戦後の現代美術作家、約200人の絵画、版画、彫刻を蒐集し、コレクターとして知られる。
1953年 東京芸術大学油画科に奨学金、大橋賞を設置する。
1978年 82歳で没。同年、遺族のご好意により、約2,000点のコレクションは、 国立国際美術館と奈良県立美術館に、その後、当館に分けて寄贈された。

○会期
2004年4月27日(火)から2004年8月8日(日)まで

◎関連企画

ギャラリートーク
2004年7月17日(水)  14:00 - 15:30
@京都工芸繊維大学美術工芸資料館
○講師
樋田豊次郎(京都工芸繊維大学助教授)