京都工芸繊維大学美術工芸資料館

京都工芸繊維大学

京都・大学ミュージアム連携

©Museum and Archives,
Kyoto Institute of Technology

展覧会アーカイブ|Exhibition Archives

2013.3.18 - 2013.5.6

文化遺産教育研究センター企画
「タイの水辺集落」展

本展覧会は、タイ中部の川辺に存在する水辺住居集落について、木造建築としての特徴、歴史的背景、現状と将来について、そこに暮らす人々の生活を織り交ぜつつ紹介しようというものである。
今回取り上げる水辺住居はタイ中部アユタヤ近傍にあり、木造高床式の住居が川べりに立ち並ぶ景観が特徴的である。 林立する背の高い柱杭の上にデッキを張って立ち上がる住居は、「てり」を大きくとって高く棟を上げる切妻の屋根が目立つ、タイ伝統の屋根型を持った形式である。 雨期と乾期の水位差が大きいこのあたりでは増水期に備えて次第に床下柱が高くなっていき、現在見るような壮観な構えの家が出来上がった。 しかし、もともとは、これらの住居は水に浮かんだ水上住居であり、筏の上に乗った特異な形式を持ったものであった。 水上交易のためにつくり出されたこの筏状住居も、陸へと交通・運輸の主体が移っていくにつれ意味を失っていったが、今度は水辺に杭を打ってその上に移築された。 水から丘に上がった両生類的な住居なのである。現在でも、水辺に開かれた構えは、かつての水上生活の名残りをとどめている。
今までも雨期には高床のデッキ下まで水に浸かる状態だったが、この前のタイ大洪水時には、何ヶ月もの間、屋根近くまで水の下になり被害を受けてしまった。 今後、住民の生活をいかに守っていくかが大きな問題になっている。 一方で、長年培われた水と共に暮らすライフスタイルを反映した住居形式は、タイの貴重な文化であり、この良さを活かしながら新たな方向性を考えることが急務となっている。
このような現地からの要請に応えるために、チュラロンコーン大学と本学との共同で、水上住居の研究に取り組むこととなった。 また、本学では「文化遺産リソースマネジメントコース」として行ったもので、多くの学生がこの調査研究に参加している。今回の展示は、その成果の一端を広く紹介する機会となることを期するものである。

○開催期間
2013年3月18日(月)から2013年5月6日(土)まで
*京都・大学ミュージアム連携所属大学の学生・院生は学生証の提示により無料で入場できます。

◎関連企画

ギャラリートーク
2013年4月20日(土)  11:30−
@京都工芸繊維大学美術工芸資料館1階

○企画
京都工芸繊維大学文化遺産教育研究センター
○共催
京都工芸繊維大学美術工芸資料館